【読了】池上彰が聞いてわかった生命のしくみ
池上さんが現代のリベラルアーツとして生命科学をあげていたのを拝見して、こちらの本を購入。学問としての[生物]の中身は大きく変化したとのこと。
「どんな生物がいるのだろうか?」、という考え方から、
「そもそも生命とはなんだろうか?」、という視点に。
学生時代に多少触れて以降、ビジネス上全然関係しない領域だからこそ、純粋に面白さを感じた本。
以下、意識したいポイントの抜粋。
・どの生命も一つの細胞から始まり、セントラルドグマという統一原理の元、多様な機能を身に付けてきた
・人間は地球上の生物の一つである、という自覚
・生物学はバイオロジー、生命科学はライフサイエンス。(生命科学は生物学の一部)
・自分はなんであるか?
・細胞の定義 境界、自己増殖、代謝
(代謝は、内部で化学反応を起こすこと)
・代謝の例 ご飯を食べて消化すること、そこからエネルギーをらつくること
・単細胞生物→多細胞生物→オスとメス
・遺伝子を担う物質がDNA。ゲノムは遺伝子の総体。遺伝子を全部ひっくるめてゲノムと呼んでいる。ゲノムはその生物に必要な遺伝子全てのこと。DNAが、おり畳まれて顕微鏡に見えるくらいの大きさになったものが染色体。
・塩基とは、一般的にアルカリ性の性質をもつ物質。
phが高いのがアルカリ性。低いのが酸性。
・DNAは糖、リン酸、四種類の塩基からできている。二重らせん構造。内側の塩基はAとT。CとGがペアになっている。
Aアデニン
Tチミン
Cシトシン
Gグアニン
・生命の本質は自己複製欲求である。
・細胞周期 DNAを複製してから、細胞を分裂するという順番
・受精卵は胎盤も含めて何にでもなれるので、万能細胞と呼ばれる
・ヘモグロビン(赤血球という細胞の中にある)も、たんぱく質。
・たんぱく質は色々な働きをする。消化酵素もたんぱく質。(消化酵素例 アミラーゼ、リパーゼ、ペプシン)
・心臓の拍動は筋肉が動くことで起きる
→筋肉の動きにもたんぱく質。エネルギーを使って形を変えるたんぱく質もある。
・たんぱく質の機能は、生命のなかでなんでもやっている。2万5000種類もある。
・酵素とは、化学反応を助けるたんぱく質。英語でエンザイム。コエンザイムは補酵素。
・ビタミン 人間が体内で作ることのできない微量の栄養素の総称
・酵素を助けるのが補酵素 たんぱく質ではない。ほとんどのビタミンは補酵素として働く。
・たんぱく質はアミノ酸という分子が繋がったもの。生体中のたんぱく質は20種類のアミノ酸からできている
・食べたたんぱく質は一度アミノ酸に分解され、たんぱく質の材料となる
・20のアミノ酸の例(アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸 など)
・コラーゲンもたんぱく質。3本の紐がらせんになったもの。3重らせん構造。
・良質なたんぱく質 必須アミノ酸がバランスよく入っている食品
・20種類のアミノ酸はどの生命にも必要。この中で自分で作れないものを必要アミノ酸という。ヒトでは9種類ある。(ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン)生物によって違う。
・DNA(遺伝子情報の担い手)とたんぱく質(生命機能の担い手)がどう繋がるかをという問題を解くための仮説として提唱されたのが、セントラルドグマ。(地球上のどんな生物にも共通の仕組みなので、生命の統一原理)
→ DNA→RNA→たんぱく質
・RNAはリボ核酸。(DNAに似た物質)
・RNAでは糖とリン酸と四種類の塩基でできている。DNAからRNAに転写されると、塩基はT(チミン)からU(ウラシル)になる。
・細胞の中の【リボソーム】という装置で、RNAからたんぱく質への変換が行われる。
・リボソームも多数のたんぱく質とRNAが集まった構造体。
・抗生物質はバクテリアのリボソーム機能を阻害する。人間のリボソームとバクテリアのリボソームは構造がわずかに異なるので、人間のリボソームは抗生物質により結合されない。
・人間も大腸菌も植物も昆虫も、同じ四種類の記号、同じ暗号表を使い、共通の20種類のレゴブロックを使って体を動かしている。
・シャペロン たんぱく質の折り畳みを助けるもの。シャペロン自体もたんぱく質。
・リソソーム(分解酵素を含む袋)
・たんぱく質の、分解二種類
→オートファジー (DNAや、脂質なども分解できる)
→ユビキチン・プロテアソーム系(たんぱく質だけ分解)
・通常の細胞は分裂できる回数に限度がある。細胞分裂できる回数は真核生物の染色体の両端にある【テロメア】と呼ばれる部分の長さと関係している。TTAGGG
・がん細胞はテロメラーゼ(テロメアを長くする酵素)を悪用
・ヒトの細胞は約37兆個
・リニューアルされない細胞は、神経細胞と目の水晶体。
・細胞の自爆装置 アポトーシス。
→おたまじゃくしから蛙になるときのしっぽを無くすとき。