日々是精進

日々の備忘録

■労働契約等解決セミナーのメモ

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2018年8月前半を皮切りに200回開催予定のセミナー(LECが受託)

社労士の先生が講師で、以下の3つのテーマを説明。

①労働契約に関する基本的な内容
②労働契約法の内容について(主に無期転換ルール)
③副業・兼業について

以下、備忘録。
説明順にメモ書きをそのまま記載。

労働者と使用者
立場の弱い労働者を守る

労働基準法
監督指導の対象となり、罰則が適用されることもある

労働契約法は民事的なルールを定める法律で罰則はない(比較的新しい 平成20年3月から)
背景:労使トラブルがとても増えてきているので制定された(ここ10年連続で100万件を超える労働相談)

労働契約とは:

   労働
労働者→→→使用者
   ←←←
   賃金

<労働契約の原則>
労使対等の原則
均衡郊考慮の原則
仕事と生活の調和への配慮の原則(ワークライフバランス
信義誠実の原則
権利濫用の禁止の原則

<ポイント>
実態が大事(フリーランサーや業務委託の人も実態は労働者的な場合がある)
労働契約法第4条 労働契約の確認と理解(できる限り書面で労働契約の内容を確認することをお勧め)
労働契約法第5条 労働者の安全への配慮(生命、身体等の安全の確保をしつつ労働ができるようにする)
→いじめやパワハラに関して不法行為責任(民法709条、715条)を問われ賠償責任を負う可能性もある

■労働契約の成立時の確認事項
・労働条件を書面で確認する事
就業規則の内容も確認する事
・労働条件が法令に違反していないか確認する事

労働条件の明示事項(書面で明示が求められる) 労働基準法により
・期間
・更新基準
・場所、業務内容
・始業、就業、残業、休憩、休暇、就業時転換に関する事項
・賃金の決定、(昇給に関する事項は書面明示でなくてもよい)
・退職に関する事項

労働条件と実際が異なる場合に、変更要求ができる。労働契約の解除ができる。

以下は、制度がある場合には明示
・退職手当、
・臨時賃金
・食費
・安全衛生
職業訓練
・災害補償
・表彰
・休職
(労働条件通知書のモデル書式:P61参照)

■試用期間(判例では 解約権留保付労働契約とされている)
通常の解雇より解約理由が広い範囲で認められるけど、客観的合理性が必要(権利の濫用で無効となる事も)

■休業手当(労働基準法26条)
事業主の都合で休業させ、自宅待機させる場合に、休業手当を支払う必要がある(少なくとも6割)
入社日の延期を行う場合は、合意が必要。
→入社日そのままで、待機の場合は、手当を支払う

就業規則と労働契約
殆どの労働契約は就業規則に書いてある
個別事項は別途労働契約で(就業規則よりも個別の労働契約に従うことになるが、就業規則を下回る内容の場合は無効)

使用者が作るのが就業規則
→労働者に不利になることも。なので、以下の2点が大事

①合理的な労働条件を定めている事
②使用者が就業規則を労働者に周知している事(置いておく、書面で交付、PCで見れるように)

■労働契約法20条 有期労働契約における不合理な労働条件の禁止
ざっくりいうと、正社員と契約社員等で不合理に労働条件を相違させることは禁止
→この規定はパートタイム労働法に統合される(今後の改定で)

裁判:ハマキョウレックス社の例

■就労時に守るべきルール(P19)
・使用者が一方的に労働条件を変えていないかどうか
・変更後の労働契約、就業規則の内容を確認
・それが法令に違反していないどうか

労働者と使用者の合意があれば労働契約の合意があれば変更はできる
労働者の合意がなければ、労働者の不利益となる労働条件の変更はできない
(合意があっても就業規則以下になると無効)

就業規則変更までの手続き
常時10人以上の労働者を使用する使用者に対して、就業規則の作成を義務付け
作成、変更の時に、労働基準監督署に届け出る

労働組合がない場合、労働者の過半数を代表するものの意見を聞いてから変える。
必ずしも賛成してもらわなくても、意見を聞いたらOK(ただし、意見書は添える)

①周知させ、②それが合理的
なら、就業規則の変更で、集約して労働条件を変更してしまうことができる
第四銀行の事例97ページ)

■懲戒(労働契約法 15条)
■出向(労働契約法 14条)
使用者が労働者に対して命令できるが、必要性に照らし合わせて権利の濫用となると、無効になる場合もある
■転籍 労働者の合意が必要

労働条件には最低基準があるので確認

■労働時間 労働基準法32条
一日8時間、1週40時間を超えてはいけない(法定労働時間)

■時間外労働、36協定(労働基準法36条)
法定労働時間を超えて働かせる場合は、事前に協定を結ぶ(労使協定)
労使協定を結べば、時間外労働させることができる
とはいえ、厚生労働大臣が定める「限度基準」がある。
→来年以降変わる予定
(※資料集141ぺージ以降に概要あり)

■休憩・休暇のきまり(労働基準法34条/35条)
6時間で45分、8時間で60分

年次有給休暇労働基準法39条)
→有休は利用目的を問わない
 よっぽどの場合は、取得日を変更してもらうことはできる。ただし、よっぽどの場合。
 アルバイトでも有休はある。

■変形労働時間制(労働基準法32条の2~5)
繁閑のはげしい業態は設定しておくとよい

最低賃金最低賃金法により制定)
毎年10月くらいに制定
東京都は時給958円(平成30年6月)
最低賃金を下回った場合の契約は、無効
差額分を支払う必要がある

■賃金の支払い方法(労働基準法 24条)
・現金で(同意を得たら銀行振り込みでもOK)
・本人に直接(未成年でも親に支払うことはNG)
・全額払い(積立金とかの名目で強制的に天引きしてはいけない)
・毎月1回払い(2か月にまとめるとかNG)
・定期払い(一定の期日を定める。毎月第4金曜日など変動する期日はNG)

■残業代(労働基準法37条)
・法定労働時間を超えた部分25%増
・法定休日に働かせたとき(休日労働)は35%以上増
・午後10時~午前5時までの深夜は25%以上増

1か月60時間を超えた時間外労働は50%以上
中小企業は適用免除(働き方改革で 平成34年から中小企業も適用)

アルバイトにも割増賃金は適用される

■減給の定めの制限(労働基準法 91条)
一日分の半額を超えてはいけない
月30万円なら、1/30の半額は5000円。

3回欠勤で、1日分を休み扱い→というのはNG
※給料を下げるという事は相当ハードルが高いこと

■労働契約の終了
自己都合退職の場合:
 書面で提出(2週間前までに退職届 民法は2週間前。大概の就業規則は1か月前)
 引継ぎ

解雇:使用者側からの労働契約の終了
解雇が禁止されている事項は沢山ある
・労災
・産前産後
・国籍、信条、社会的身分
・労基署にいった
労働組合の組合員
・性別、出産、育児
・育児介護休業の申し出
・パートタイム
公益通報

社会通念上認めづらい事は認められない
日本で中々解雇は認められない
(35ページ 解雇退職勧奨のコラム)
・解雇する場合、30日前に予告

■期間の定めがある労働契約
雇止め(有期契約を更新を繰り返し、ほぼ無期雇用のように働いてきた場合)
雇止めが解雇と同様と捉えられる場合がある

119ページの判例
121ページ(雇止め判例 日立メディコ)
判例の傾向、補足など(39ページ、40ページ)

■無期転換ルール(P42~)
平成24年8月公布、25年施工
平成30年4月から権利発生者が発生

3つのルール
①向き労働契約への転換
②雇止め法理 の法定化
③不合理な労働条件の禁止
 ①についての説明(②、③は説明済み)

・平成25年4月1日以降に開始した有期労働契約が対象
・申し込みができるのは通算5年を超えてから(最初に申し込みしなかったけど、後でしたくなってもできる)
・労働者の申し込みにより無期労働に転換

口頭でも有効だけど、書面での方がよい(テキストP59ページにモデル書式)
申し込みをしたら使用者は承諾したことになる(拒否権なし)

特に定めがなければ、労働条件は同一。
労働条件を下げることはできない。でも絶対上げないといけないわけではない。
無期=正社員ではない。

クーリング:1年契約で途中6か月以上空きがあると、リセット
(契約期間が1年未満の場合は、空間期間のカウントが異なる)
同一の使用者ごとに計算する
労働契約の存続期間で計算(育児休業期間とかもカウント)

※特措法
定年後に有期契約で継続雇用される高齢者の場合は、5年働いても無期転換の対象とはならない

使用者に対して:
無期転換を負荷に感じなくてもよいよ、という話
(資料集3ページ~無期転換ハンドブック)
お願いしたいことを分類
多様な正社員を作る
正社員にする
段階的にする など、色々施策を試みてください


■副業・兼業促進に関するガイドライン(H30年1月から)79ページ

これまで禁止しているところがほとんど
(業務がおろそかになる、情報が漏洩するかも、競業なのでは?)

働き方の多様化

判例
労働時間外以外をどう使うかは、労働者の自由→副業は自由だ


希望者がたくさんいる
判例も出てきている
心配はあるけど、これからは認めていくべきでは?
環境整備を。

企業の留意点(81ページ以降)
・過重労働
・情報漏洩
→ある程度の内容を届け出させるべき?

※労働時間は通算される。
労基法上は、原因を作った側に残業代をはらう必要が出てくる、とか。
→今後変わるかも。法律検討中。

健康管理
副業してても、健康診断実施は使用者側に必要

20万円以上の副収入がある場合は、企業による年末調整ではなく、個人による確定申告が必要

雇用保険はメインのみ

厚労省作成のモデル就業規則
→副業OKの記載に変更