日々是精進

日々の備忘録

非上場オーナー会社の従業員持ち株会

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凄く業績が伸びていて、社員の資産形成に熱心な社長という事ではなく、所謂普通の会社(非上場のオーナー会社)が社員持ち株会をつくろうとするのはどんな意味があるのかと考えると、それは引退への道筋なのかなと。


社員がやるかどうかは、その会社の業績と、配当と奨励金の設定次第というところが、
資産運用を全然しておらず、貯金もあまりしていない独身社員には、毎月の積み立てというのは良いのかもという印象。

 

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■社員持ち株制度:

〇従業員が毎月一定の金額を拠出し、共同で自社株を買い付けていく仕組み
 一般的には、従業員が「持株会」という機関を設立してその運営を行う。
 会員になった従業員が給与天引きで自社株を購入し、拠出額に応じた配当金を得ることができる。


<メリット>
■会社メリット
・安定株主を増やす(上場会社では株主総会を運営しやすくなる)
・節税対策
・相続対策(持分減少になるため、相続で有利に働くことが期待できる)
・社員のロイヤリティ向上
・社員に自分の会社として経営に関心を持ってもらう

■社員メリット
・資産形成
(1)1000円から手軽に始められる
(2)天引きで積み立てられる
(3)奨励金が付与される場合がある
((1)と(2)は他の積立投資でもよい話なので、(3)が有益)
→上場を目指す場合:上場前の価額で株式を購入することができる
→上場を目指さない非上場会社の場合は配当のみ

<配当>
法人税等を差引いた後の利益または利益の積立である利益準備金から株主へ持分に応じて分配される
(配当が出資額に対してある程度以上の割合であれば 従業員はメリットを認識することができる)

<デメリット>
■会社デメリット
・ギリギリの経営の場合、配当を出すために経営が圧迫
・退職時トラブルの発生リスク(退職時の売却ルールの設定)
・少数株主が生まれる事への対応検討(持ち株会の株は「議決権制限種類株式」にする)
インセンティブ制度次第では高コストとなる

■社員デメリット
・資産が自社業績と連動する(フローの収入に加え、ストックの資産まで会社の収益に依存する)
→「正確にリスクを認識しなくなる」という問題が起こりやすくなる
・すぐに売却するなど柔軟な運用ができない
・途中退会の際に、平均購入価格よりも、その時の株価が低いと損をする
→退会時の買取条件、特に、買い取ってもらう価格(株を取得した際の価格なのか、時価で買い取ってもらえるのか)など入会する前に確認が必要

<実施の重要なポイント>
・制度設計と継続的な運用をしっかりと行えるか否か
・配当金の支払い基準の明確化→どの程度の配当が見込めるかを社員に明示する
→「魔法の箱ではなく、あくまでも株式投資の一つ。企業に成長力がなければ長期保有しても資産形成にはつながらない」
・毎期の経営状況の開示などOPENな経営体制による社員との信頼関係構築が必要

<奨励金>
・一般的な目安は5~20%
奨励金を付与している会社:96.6%(付与率:5〜15%程度のところが約75%)
全ての持株会実施企業の平均は8.1%
東京証券取引所の調査2017年10月)

サイボウズ、ワンダープラネット社などでは100%に設定
→毎月1万円積み立てるとした際に、会社が1万円分を補填して合計2万円の積立金にする
サイボウズは実施前の持ち株会参加は3割だったが、この制度導入後に9割に。
サイボウズ株価:1845円、時価総額:973億円 2020年4月1日現在、持ち株会の持ち分比率5.64%(54.8億円)、従業員数660人)
→社員の9割が保有:約600人保有(均等割りで計算すると、一人当たり約900万円)
http://www.ullet.com/4776.html

・支払う会社では福利厚生費などとして費用処理可能。
・従業員は給与課税の対象となる

<参考記事>
https://bowgl.com/employee-holding/
https://diamond.jp/articles/-/172171
https://financial-field.com/living/2017/12/29/entry-10014
https://www.all-senmonka.jp/oshiete/728/